column 1 ―私の仕事はあなたの中に檸檬をみつけること―

🍋レモンから始まる「問い」ー組織開発の再定義とGIFTの思想
PENGUIN FIRMのホームページ中央に置かれた本棚には、ひときわ目を引く大きなレモンがあります。
「なぜここにレモンが?」と、多くの方が尋ねます。けれど、私にとってこのレモンは、単なる果実ではありません。静かに見つめるうちに、それは「檸檬」へと姿を変え、やがて「すっぱい想い出」として記憶の深層に沈んでいきます。
その静かな思考の先に、時に予期せぬアイデアがひねり出される。異質な存在こそが、私にとっての発想の扉なのです。
しかし、この内なる感覚を、他者に“伝わる言葉”へと昇華させることは、決して容易ではありません。
この「伝わらない」もどかしさこそが、私が組織開発に向き合う原点であり、「問い」を立てる理由なのです。
🔍「問い」が組織を動かす──再定義の力
組織開発とは、単なる制度改革でも、効率化の手段でもありません。
それは、組織の内側に眠る「問い」を掘り起こし、共有し、探求する営みです。
「私たちは何者なのか?」
「何のために存在するのか?」
「顧客に真に届けたい価値とは何か?」
こうした問いが曖昧なままでは、組織は個々が孤立し、バラバラに動いてしまいます。
だからこそ、問いを立てることが、組織の再定義につながるのです。
辞書が「定義」を結果や現象で簡潔に記述するのに対し、私たちが目指す「再定義」は、会議室のプロセスや顧客との関係、競合との駆け引きといった、実践の中で生まれる“生きた意味”を言語化することです。
それは、ビジネスパーソンが日々の業務の中で意識し、行動を変えるきっかけとなる「問いの再定義」なのです。
🎁GIFTレポート──問いから生まれる価値の渡し方
私たちは、組織の価値を「GIFT」として届けることを目指しています。
GIFTとは、単なる成果や知識ではありません。それは「相手のその先」を想像し、価値を“渡す”という文化的な習慣です。
GIFTレポートは、問いから始まり、視点を変え、価値の渡し方を磨くための実践知の集積です。
そこには、以下の三つの習慣が込められています:
- 問いを立てる習慣:「勇気・尊敬・科学」のある問いが、内省を深め、行動を変える。
- 視点を変える習慣:異なる立場の“ファシリテーター”として、風景の見え方を変える。
- GIFTの習慣:成果や知識を、相手の文脈に合わせて渡すことで、文化が変わる。
この三つの習慣は、組織の「らしさ」を磨き、異質なものを異質のまま尊重しながら、共に育てていくための羅針盤です。
🧭「勇気・尊敬・科学」が導く組織の未来
私が大切にしている三つの視点──勇気・尊敬・科学──は、問いの探求において不可欠な要素です。
・勇気:未知の問いに踏み込む精神力
・尊敬:異なる声に耳を傾ける姿勢
・科学:仮説を検証し、行動に変える方法論
これらは、組織開発のプロセスを支える“人間性のエンジン”であり、問いを深め、再定義を可能にする力です。
🌱問いのある組織は、ギフトに満ちている
問いを奨励する組織には、優しい話し、強い話し、面白い話しが溢れています。
それは、単なる情報伝達ではなく、知識の創造であり、関係性の再構築です。
AIやクイズ王が知識を瞬時に処理する時代において、私たち人間が担うべき役割は、「問いを立てること」ではないでしょうか。
そして、その問いから生まれる物語を、GIFTとして世界に届けることこそが、私たちの使命なのです。
さあ、あなた自身の「問い」を立ててみてください。それは、組織の未来を変える第一歩となるはずです。
そして、あなたの問いが、誰かにとってのギフトになる日を、私たちは心から楽しみにしています。
主要参考文献
- 失敗の本質 日本軍の組織論的研究 戸部良一 他
- 文明が衰亡するとき 高坂正堯
- あの戦争はなんだったのか 保坂正康
- 「超」入門失敗の本質 鈴木博毅
- 競争の戦略 M.Eポーター
- マネジメント P.Fドラッカ
- 「空気」の研究 山本七平
- 世界は贈与で出来ている 近内悠太
- 営業マンは断ることを覚えなさい 石原明
- ものづくりのこころ 常盤文克
- ポリマーアロイ・ブレンド DJK社カタログ
- 工業材料としてのポリマーアロイ 井出文雄
- コンパウンデイングにおけるポリマーアロイの構造制御因子 成沢郁夫
- 星の王子様 サン・テクジュペリ
- 「チ。」 魚豊
- 問のデザイン 創造的対話のファシリテーション 安斎祐樹・塩瀬孝之
