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column 2 異物を混ぜて価値を生む

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ポリマーアロイから見える組織開発の本質

私は長年、ポリマーアロイという複数の高分子を混合し、新たな 機能性材料を開発する仕事に携わってきた。

※ポリマーアロイとは、新しい高機能プラスチックをつくるための開発手法のひとつです。

もともと交わりにくい異なる性質のポリマー(高分子)同士を、界面の工夫や配合バランスの調整によって“うまく馴染ませ”、それぞれの持ち味を引き出しながら新しい特性をもつ一体の材料へと仕立てていく設計技術です。

ポリマーアロイ技術では、異質なものをただ混ぜるのではなく、関係性そのものに働きかけることで価値を高める──そんな姿勢が求められます。

この「異物同士を混ぜて価値をつくる」というポリマーアロイの考え方が、今、私の中で組織開発の世界と深く響き合っています。まさか材料の混ぜ方が、人と人の関係性の在り方に通じるとは、かつては想像もしませんでした。

たとえば、ポリマーアロイ開発では以下のような発想が重要です。

1.        異物をあえて混入して、商品価値を上げること。

同質なものを積み上げても限界があります。異質さがもたらす存在感や違和感こそが、新しい性能を生む起点になるのです。

2.        大がかりな設備投資ではなく、“混ぜ方”の工夫が鍵。

小さな配合比や加工プロセスの違いが、劇的な差を生むことがあります。これは組織にも通じる話です。

3.        相手との関係性(界面)がすべてを決める。

混ざらない素材同士をどうつなぐか。それは“性質”の問題ではなく、“関係性”の問題です。

4.        混ぜ方ひとつで、アウトプットの質がまったく変わる。

まるで同じ人材であっても、関係の質が違えば、組織成果は全く別物になるように。

こうした知見は、組織のあり方を見つめ直す上で非常に多くの示唆を与えてくれます。

とりわけ私が面白いと感じたのは、いわゆる「2:6:2の法則」の捉え直しです。

この法則では、どんな集団にも「積極層:中間層:消極層」が一定割合で存在するとされ、しばしば“後ろの2割”は手放すべき存在と見なされがちです。

しかし、アロイの世界ではむしろ、この「混ざりにくさ」や「拒否反応」が、高付加価値を生むヒントになります。

つまり、反発しあう異物こそ、相反性を乗り越えることでまったく新しい相互作用を生み出す可能性があるのです。

これは組織でも同じです。

これまで無関心に見えていた人、反対ばかりしていた人が、実は組織の可能性を照らす“異なる光源”になることがある。

だからこそ私は、異質な才能を「排除する前に、活かす可能性を見出す視点」がとても大切だと考えます。

異質な個人を活かす機会を学習する組織文化から、「少数にすれば精鋭になる」が可能です。―それがアロイ開発の視点から見えてきたことです。

そして最後に、私が伝えたいのはこの言葉です。

自律と尊敬と化学から、勇気が生まれる。

組織開発とは、人と関係性に働きかけ、組織そのものが“変わる力”を育てる営み。

それは、異なる性質を持った人たちが、互いに自律し、敬意を払い、時にぶつかりながら、化学反応のように新しい価値を生み出すプロセスなのです。

私の経験してきた材料開発の現場から見えてきた「混ざることの可能性」を、これからは組織と人の未来のために、活かしていきたいと思います。

具体的な貴社の組織開発へのアドバイスは、丁寧な個別ヒアリングによる擦り合わせ確認から始まります。その上で、貴社に最適な関係知識と実践方法をご提案させていただきます。

この記事を書いた人

ビジネス・組織開発コンサルタント PENGUIN FIRM(ペンギンファーム)の代表です。理系出身として化学会社に入り、品質や利益を最大化するためにも異質さや変化点を見つめてきました。組織を顕微鏡で観察するように見てきたからこそ、「定義」、「最適化」や「歯止め」といった言葉が、自然と口癖になっています。

この“理系(化学)の視点”は、もしかしたら人や組織の成長にも役立つのではないか、変化の激しいこの時代に、「人間らしさ」や「その人らしさ」が見過ごされがちな今こそ、僕のようなバックグラウンドが、新しい視点を提供できるのではないかと感じ、皆さまのビジネスを成功に導くことを使命に日々、コンサルティングを行っています。

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